よく、「政治が悪いのは政治家のせい。」と言われるが、以前、県庁で働いていた私から言わせると、役人幹部の責任も重い。
実際、政治家て役人ほど、実務について詳しくない方が多い。
役人の方が深いところまで知っていたり、持っている情報が多い。
その為、なんやかんや、役人幹部が政治家を操ることもできたりする。
都合の良い情報しか政治家に伝えなかったり、情報を小出しにしたり。
役人は政治家を見て、どこまで情報を与えるか判断しています。
理解力なさそうだなって思ったら、適当に転がす事だってあります。
なぜそんな事をするか?
政治家に情報を与え過ぎると、余計な仕事が増えるから。
これを聞いて、役人幹部、最悪やん。て思う方いらっしゃるかもしれませんが、個人的には悪いとは思いません。
役人幹部だって、根幹には、県政を良くしよう。という気持ちはあります。
これまでの行政運営で積み上げてきたものを政治家の鶴の一声でめちゃくちゃにされないようにする為に、先に述べたような事もします。
ただ、中にはどうしようもない役人幹部もいます。
積み上げとか全く関係なく、派手な事をしたがったり、政治家にすり寄ったり。
結果、歴代役人幹部が守ってきた秩序を一気に破壊します。
破壊しなきゃならない時もありますが、ここだけはダメみたいなものも見境なくやってかまします。
ここからは、私の偏見ですが、特に事務系の幹部にその傾向が強い。
その理由を説明します。
公務員は、大きく技術系と事務系に分類されます。
技術系の公務員は基本同じ部内で定年まで働きます。土木や建築、農業、機械等。
一方、事務系の公務員は、色んな部に異動します。
そのため、技術系公務員は、その部への思い入れが事務系より強いです。
思い入れの違いだけでなく、現場で接触する関係者の範囲や数も違います。
基本、公務員は3年おきに人事異動がありますが、技術系は部内の異動こそあれ、同じ部内なので、現場で接触する関係者はほぼ同じです。
そのため、事業ひとつとっても、この事業が現場にどういう影響を与えるか、技術系公務員ならすぐにピンときます。
現場関係者との付き合いが長いので、関係者がどういうリアクションをするか分かる。
一般ウケする聞こえの良い派手な事業であっても、実務をする現場は困るだろうなぁ。というのも容易に想像できる。
一方、事務系の公務員は、同じ部にいても長くて5年。
再度、同じ部に戻ってくる可能性は低い。
そうなると、現場への思い入れは育ちにくく、その時さえ良ければいいや。という気持ちになりやすい。
それに、一生懸命頑張ったとしても、現場で成果が現れるのは数年先。
その時に同じ部にいる保証はない。
その為、事業の果実を実感する機会が少ない。
つまり、こういう環境で育ってきた事務系幹部は、将来的な果実を味わう機会を喪失している為、打ち上げ花火を上げたくなるのです。
(※打ち上げ花火:見た目は派手だが、効果の乏しい事業。その割に手間はかかるような事業。)
また、事務系の幹部は得てして、人事課や財政課など外部との接触のない課に配属されがちです。(県庁内では花形の部署)
そうなると、どうしても見る方向が現場ではなく、知事や議員となってしまいます。
自分の成果を測る指標が、知事や議員からの評価しかないため、派手なことをしないと評価してもらえません。
同じことをしていたら低評価です。本当は事業を継続することが大事なのだけど。
だから、地味だけど大事な事業をいとも簡単に破壊して、本当にやる意味あるの?というような事業を知事から議会に提案することになる。
結果、中身スカッスカッ事業が乱立して、職員は疲弊。県民への実メリットも低下。
話が色んな方向にそれちゃいましたが、今日、言いたかったコトをまとめます。
・役人幹部は政治家をある程度コントロールすることは可能。(政治家の質による)
・事務系の役人幹部は聞こえは良いが効果の薄い事業を提案しがち。(ただし、それは環境がそうさせている)
・政治が悪いのは政治家だけの責任ではない。(役人幹部の責任は重い)
それではまた。
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